ATOMの全身を制御するメインボード
ATOM のあらゆる動作と、コミュニケーション行動を支えるフロントエンドA I の根幹基板が、メインボードです。二足歩行をはじめとする動きのバランスをとるための6軸センサー、バッテリー充電中でもATOM 本体が稼動できる充電回路、電源や時刻の管理、サーボモーターやセンサーを制御する専用のマイコンに加え、フロントエンドAIのソフトウェア本体など、ATOM の主要な回路がすべてメインボードに詰まっています。
ATOM の腰のあたりに地面と平行に内蔵されるメインボード。
ATOM のために新規開発されたメインボードは、両面に大量のチップが積まれています。
そのひとつひとつの果たす役割を知れば、この手のひらサイズの基板がいかに重要か分かっていただけると思います。
表面 Raspberry Pi 3 接続部 このコネクト部を通じて「Raspberry Pi 3(通称ラズパイ)」と、リアルタイムに同期通信を行います。6軸センサー 二足歩行や、さまざまなダンスをはじめ、ATOMのモーション・コントロールを支えるセンサーです。前後、左右、上下の3方向を検出できる加速度センサーと、回転の速さを検出できる角速度センサー(ジャイロセンサー)を組み合わせています。移動方向、向き、回転を検出し、さらに移動距離や移動速度を算出することもできます。 USB HUB(4ポート) 小サイズで低消費電力、85℃まで稼働可能なHUB コントローラー。富士ソフト独自の技術「フロントエンドAI」を支える各種メモリに繫がっています。
裏面 STM32 STマイクロエレクトロニクス社製。CPU、メモリ(RAM、ROM)、I/O(入出力)など、さまざまな機能が1チップに収められ「ATOMの頭脳」とも言えるメインボードの中でも、特に重要なチップです。ROMに書き込まれたプログラムにより制御されています。 XMOS 「ソフトウェア定義シリコン」(SDS)とも呼ばれる、独自のアーキテクチャを採用したプログラマブルロジックデバイス。RISCの半導体コア(XCore)をC 言語などで記述することで、ソフトウェア的に制御します。ATOM が充電しながらおしゃべりしたり、上半身を動かせるのは、このXMOS、および充電回路の働きによるものです。 スピーカーアンプ プレーヤーにより入力された信号の増幅や切り替えを行う「アンプ」と、再生そのものを担当する「スピーカー」が一体化したチップです。 充電回路 ATOMのバッテリー充電システムを制御する回路。この回路の働きによりAC アダプタを外しても、内蔵バッテリーで40分前後の稼働が可能になっています。
※基板の写真はすべて開発中のもので、細部が変更される可能性があります。
ATOMの動作制御はもちろんですが、ロボットの血液ともいえる電気もまたメインボードで生成され、各基板に送り込まれます。ACアダプターによってDC電源に変換された電源を、メインボード上で各基板や部品に必要な電源に再変換しているのです。バッテリーの充電もそのひとつ。
もうひとつ、ロボットが常に抱える問題が熱の放出です。
ATOMは本体内の温度を常時チェックし、アクチュエーター(サーボモーター)の力を抜いたり、ファンで体内の空気循環を行い、温度を適切に保つように制御しています。さらには、熱の放出が間に合わないと判断すると、要求された動作を声に出して断り、ユーザーに報告します。